週末のお出かけに!来年の準備に、とっておきの雑貨屋めぐりに出かけよう
お茶の水女子大学で地理学を専攻する『地理×女子』監修のまち歩き。紹介するのは、東京都新宿区で坂沿いの表通りから一本入ると花街特有の路地や江戸から残る石畳の横丁など、ここにしかない町並みが広がる神楽坂。その土地の地理をひも解いて、まち歩きを楽しみながら、新年の準備にぴったりの雑貨屋めぐりに出かけます。
メインとなる神楽坂通りをてくてくと
今回紹介するのは東京都新宿区にある「神楽坂」。まちを歩きながらその土地の地理をひも解き、新年に向けておすすめの雑貨屋さんをご紹介します。神楽坂とは、外堀通り交点の神楽坂下から大久保通り交点の神楽坂上までの早稲田通りの坂(神楽坂通り)およびその周辺を示す地名。その由来は諸説あるものの、神楽坂若宮八幡神社の神楽の音がこの坂まで聞こえてきたからといわれるなど、周辺には毘沙門天善国寺をはじめ、神楽坂若宮八幡神社や赤城神社など多くの寺社があるのも特徴です。 神楽坂のまち歩きでメインとなるのが神楽坂通り。東京メトロ有楽町線飯田橋・南北線飯田橋駅がある神楽坂下を起点に、神楽坂通りを神楽坂1丁目から2丁目、3丁目と続く神楽坂上方面へ坂を上ります。
さっそく、東京メトロ飯田橋駅(B3出口)を背に坂の入り口となる大久保通り交差点の神楽坂下から毘沙門天善国寺がある坂の上に向かって、神楽坂通りの坂道をてくてくと。
平日は車の往来も多く、地元の方や観光客が混在し賑わっていますが、休日になると歩行者天国になり、地元の商店街はさらにいきいきと活気に満ちた雰囲気に。
神楽坂らしさを感じる横丁や裏路地
坂沿いには神楽坂らしい雰囲気を保っている路地が多いのも特徴です。大正時代から栄えた花街特有の路地や数々の横丁。古くから石畳が多く、神楽坂の情緒を演出してきました。徳川家家老の本多氏の屋敷があったという『本多横丁』や、小径に続く石畳や黒塀などが印象的な『かくれんぼ横丁』など、ネーミングもユニークな横丁がいくつもつながっていて、そんなまちの歴史を感じながら歩いていきます。 神楽坂通りを半分くらい歩いてきたところで道を外れて小栗横丁にちょっと寄り道。ここは通りに銭湯の熱海湯があることから『熱海湯通り』とも呼ばれ、神楽坂通りから屋根伝いにひょっこり見える一本の煙突が目印。
今でも熱海湯が開店する15時前には、何十年も通っているという常連さんの姿もちらほらと。神楽坂通りの賑わいとは違って、閑静な住宅街の中で昔からの生活感のある温かな風情があります。 さてさて、ふたたび神楽坂通りに戻ったら、朱色の建物が大きく目立つ毘沙門天善国寺あたりで一度坂を上り切り、窪地となっている大久保通り交差点の神楽坂上までは下り坂となり、さらに坂を上る格好で神楽坂通りの先にある神楽坂駅付近まで早稲田通りをてくてくと。
住宅地が密集していた低地から坂を上ると高台に赤城神社があるなど、だんだんと変化するまちの様子とともに、坂を上ったり下ったりと、歩くたびに自然地形を感じられるのも神楽坂の魅力です。
文人ゆかりの街で出会う雑貨たち
文人ゆかりの街でもある神楽坂。かつては江戸時代の文人・大田南畝(おおたなんぽ)、明治時代には尾崎紅葉や泉鏡花などの小説家が住み、現在は新宿区の史跡にもなっていて、その時代を今に残しています。早稲田通りから朝日坂という道を入ったところに明治初年、牛込朝日町と呼ばれていた地域があり、その住宅街の一角に尾崎紅葉の旧居跡があります。そこからほど近い神楽坂6丁目の早稲田通り沿いにあるのが「神楽坂プリュス」という雑貨屋さん。入り口には紺色のれんがゆらゆらと、和の風情ある佇まいが印象的。「神楽坂プリュス」は人とまちがつながる場をコンセプトにした雑貨ショップと貸しスペースの複合施設です。一階のショップでは神楽坂ゆかりのものや、各地からセレクトした手づくりの逸品が揃います。 店内で最初に目に留まったのが、神楽坂ゆかりの文芸家たちの足取りを尋ねる「神楽坂文芸地図」。こちらを片手に神楽坂を歩けば、また違った視点でまちを楽しむことができそう。棚に並ぶ生活雑貨や調味料など、どの商品にもものづくりへのこだわりや思いなどつくり手の顔がみえるものばかり。 中でもおすすめなのが、何かと手書きの機会が増えるこれからの時季にぴったりな文房具。お店には便箋やぽち袋なども取り揃えているので、大切な人への思いをひと筆加えて自分だけのオリジナルを作ってみるのもいいですね。
さらに上へ神楽坂通りを歩いて行くと
ただひたすらに神楽坂通りをまっすぐ歩くだけなら15分くらいの距離ですが、坂沿いの横丁や路地など、その時々で気になったところを気ままに寄り道していると、いつの間にか1時間経っているというのも神楽坂の魅力だったりします。「神楽坂プリュス」から、さらに早稲田通りを歩いて足を伸ばし、地下鉄東西線『神楽坂駅』矢来口のすぐ近くにあるのが「かもめブックス」です。 こちらのお店は本とコーヒーとギャラリーの3つを複合したショップ。お気に入りの一冊を見つけた後、おいしいコーヒーで一息つくのにおすすめです。
店内はとても開放感のある雰囲気で、入り口にあるカフェ「WEEKENDERS COFFEE AllRight(ウィークエンダーズコーヒー オール ライト)」はイートイン席があり休憩もできるので、まち歩きの休憩にも最適。京都のロースターカフェで焙煎した豆を使用し、丁寧に一杯ずつ淹れてくれたコーヒーを楽しむことができます。本以外にもこだわりの文房具などセンスある雑貨も数多く取り揃えていますよ。 あちらこちら寄り道して、気ままに神楽坂を歩いていたら、いつのまにか日が暮れてしまっているということも。そんな神楽坂界隈の小路は夜もまた風情があるので、新たな発見と楽しみ方があります。
神楽坂は歩くたびに花街特有の古き良き町並みから江戸の古き良き伝統や面影、そして夏目漱石や森鴎外、尾崎紅葉など多くの文豪にも愛された情緒溢れるまちの魅力を感じることができます。そんな神楽坂で、このまちならではのとっておきの雑貨にも出会い、新しい年に向けた準備をしてみてはいかがでしょうか。
writer / 渡邊 孝明 photo / 渡邊 孝明、神楽坂プリュス、かもめブックス
※記事の内容(本文・画像など)に関しては、許諾を得て掲載しております。
【Not Sponsored 記事】