タイ国政府観光庁総裁、クーデター発生後の現状を語る 女子旅プレスインタビュー
提供:女子旅プレス
今年に入って、デモの発生、戒厳令の発令、暫定政権発足と不安定な状況が続いていたタイ政権。今回、タイ国内外に大きな影響を与えたクーデター後の現状について、タイ国政府観光庁 総裁 タワチャイ・アルンイク氏が、女子旅プレスの取材に応じ、騒動発生後の観光客の反応や、メディアによる影響などについて語ってくれた。
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デモ、クーデターと聞くと、日本ではあまり聞き慣れない響きについ身構えてしまうかもしれない。しかし「まず誤解してほしくないのですがタイ国民は仏教徒が多く、基本的に温和な平和主義です」と語るタワチャイ総裁。
それぞれ支持する政党が違う事で、時には衝突や喧嘩が大きくなり、今回のような事態が起こってしまう。タイ国内でのクーデター自体は、1930年代に絶対君主制にピリオドを打って以来定期的に起きてはいるが、いつも軍が動くと短期間で終息するケースが多い。
実際に現地へ行くと、「今回クーデターが起きたことで、軍人が街に常駐するようになり、むしろ治安が良くなった」という声も聞かれる。少なからず国民に安心感を与えている状況を見ると、タイのクーデターは一概に悪いものとは言えないようだ。
日本のみならず、世界規模で報道された今回の騒動。世界にむけて、タイは現在とても大変な時期を迎えているのだ、という印象を与えることとなってしまった。そこで今回タイ王国陸軍は、1日も早くスピーディに問題を解決し、国民全員に平和をもたらすために戒厳令を発令。
未だ一部戒厳令は残っているが、そのおかげでタイの平和が維持されており、観光客が安心して出歩ける状況となっている。これも軍の存在が、国民に法律をより遵守させるきっかけとなっているのだろう。
タワチャイ総裁は「9月末には臨時という形ではあるが新しい首相が選出され、10月までに国会を開催し、そして1年後にはタイは民主主義国家へと生まれ変わるだろうと予想される。なので今後タイは、さらに国民が望む平和な国になるでしょう」と語り、今後のタイの未来を予見した。
ここ数年のタイの歴史を紐解くと、2008年の反政府運動によるスワンナプーム国際空港閉鎖は、かなり大規模なものだったと言える。当時は世界各国の航空機が発着出来ず、大勢の観光客が9日間国内で足止めされる事態となった。
この時も観光客が激減したが、そこからどのようなプロモーションや過程を経て復活したのか。
実は空港閉鎖から3ヶ月で、観光客の数は元通り回復した。さらに驚いたことに、2008年は2007年と比べ、タイへの渡航者数が増えているのだ。これはPRやプロモーション活動の中で、各国のメディアを招待し、タイは安全だという事をアピールして、今後はこのような事が決して起きない、という事を強く印象付けた事の賜だと言う。
タイへの世界各国の年間観光客数は、飛行機を利用した渡航者数で1番多い国が中国、2番目がマレーシア、3番目が日本という結果になっている。去年1月から12月にかけての日本人観光客数は約52万人で、アジア観光客全体の割合を見ると、治安問題の影響から、今年1~4月は昨年と比べて、11.6%のマイナスとなっている。
だがその一方で、欧米からの観光客数の割合は、今年の1月から4月の間で昨年比7.6%ほど上がっている。これは、アジア圏の観光客はメディアの報道を受けて、渡航に対し消極的になってしまうのに対し、欧米の観光客はメディアの報道を、現地の状況を各々でしっかり把握し、あまり治安の影響を受けていないためだと思われる。
今回の一連の反政府デモの発端とも言える事件は、2006年にまで遡る。当時の首相である、タクシン・チナワット氏の政治活動が国民の反発を招いたことにより、デモが勃発。その後、今日まで度々デモやクーデターが頻発する状況が続いており、今年に入って再び「タクシン派」と「反タクシン派」の衝突が激化。
今回、19回目となるクーデターが発生し、一時は道路が完全に封鎖されるなどの騒動に繋がり、これを受けてタイ王国陸軍が5月20日、タイ全土に戒厳令を宣言。続く5月22日にはタイ全土に夜間外出禁止令(22時~5時まで)が発令され、「国家平和秩序評議会(NCPO)」が国を統治している期間が続いたが、6月13日にはタイ全土に夜間外出禁止令解除が発表された。
今回のインタビューを通じて、一貫して「タイの治安はほぼ元通りになっている」と、現地の平和をアピールしたタワチャイ総裁。
メディアを通じて、バンコクの騒動についての情報を得ていた私たちも、実際に現地に足を運ぶと、その言葉に納得せざるを得なかった。そこにはいつもと変わらぬ日常を送るタイ国民の姿があり、不安要素など微塵も感じさせなかった。まるで、デモなどなかったかのように街も国民も穏やかだ。
残念ながら、未だ日本人観光客の姿はあまり見受けられなかったが、現在、タイには騒動が起きる前のような日常が戻っているのが事実。全体を見ると、治安問題は少なからず昨今のタイの観光業界に影響を与えてはいるが、現状タイの治安は良いと言える。日本をはじめ、アジア圏、そして世界中の観光客で再び賑わいを見せる、タイの姿を見られる日も近そうだ。(女子旅プレス/モデルプレス)
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「クーデター前より治安は良くなった」
デモ、クーデターと聞くと、日本ではあまり聞き慣れない響きについ身構えてしまうかもしれない。しかし「まず誤解してほしくないのですがタイ国民は仏教徒が多く、基本的に温和な平和主義です」と語るタワチャイ総裁。
それぞれ支持する政党が違う事で、時には衝突や喧嘩が大きくなり、今回のような事態が起こってしまう。タイ国内でのクーデター自体は、1930年代に絶対君主制にピリオドを打って以来定期的に起きてはいるが、いつも軍が動くと短期間で終息するケースが多い。
実際に現地へ行くと、「今回クーデターが起きたことで、軍人が街に常駐するようになり、むしろ治安が良くなった」という声も聞かれる。少なからず国民に安心感を与えている状況を見ると、タイのクーデターは一概に悪いものとは言えないようだ。
観光客が安心して出歩ける状況
日本のみならず、世界規模で報道された今回の騒動。世界にむけて、タイは現在とても大変な時期を迎えているのだ、という印象を与えることとなってしまった。そこで今回タイ王国陸軍は、1日も早くスピーディに問題を解決し、国民全員に平和をもたらすために戒厳令を発令。
未だ一部戒厳令は残っているが、そのおかげでタイの平和が維持されており、観光客が安心して出歩ける状況となっている。これも軍の存在が、国民に法律をより遵守させるきっかけとなっているのだろう。
タワチャイ総裁は「9月末には臨時という形ではあるが新しい首相が選出され、10月までに国会を開催し、そして1年後にはタイは民主主義国家へと生まれ変わるだろうと予想される。なので今後タイは、さらに国民が望む平和な国になるでしょう」と語り、今後のタイの未来を予見した。
2008年のデモ時は3か月で観光客が回復
ここ数年のタイの歴史を紐解くと、2008年の反政府運動によるスワンナプーム国際空港閉鎖は、かなり大規模なものだったと言える。当時は世界各国の航空機が発着出来ず、大勢の観光客が9日間国内で足止めされる事態となった。
この時も観光客が激減したが、そこからどのようなプロモーションや過程を経て復活したのか。
実は空港閉鎖から3ヶ月で、観光客の数は元通り回復した。さらに驚いたことに、2008年は2007年と比べ、タイへの渡航者数が増えているのだ。これはPRやプロモーション活動の中で、各国のメディアを招待し、タイは安全だという事をアピールして、今後はこのような事が決して起きない、という事を強く印象付けた事の賜だと言う。
タイへの世界各国の年間観光客数は、飛行機を利用した渡航者数で1番多い国が中国、2番目がマレーシア、3番目が日本という結果になっている。去年1月から12月にかけての日本人観光客数は約52万人で、アジア観光客全体の割合を見ると、治安問題の影響から、今年1~4月は昨年と比べて、11.6%のマイナスとなっている。
だがその一方で、欧米からの観光客数の割合は、今年の1月から4月の間で昨年比7.6%ほど上がっている。これは、アジア圏の観光客はメディアの報道を受けて、渡航に対し消極的になってしまうのに対し、欧米の観光客はメディアの報道を、現地の状況を各々でしっかり把握し、あまり治安の影響を受けていないためだと思われる。
クーデターの発生、戒厳令、夜間外出禁止令発令…解除までの道のり
今回の一連の反政府デモの発端とも言える事件は、2006年にまで遡る。当時の首相である、タクシン・チナワット氏の政治活動が国民の反発を招いたことにより、デモが勃発。その後、今日まで度々デモやクーデターが頻発する状況が続いており、今年に入って再び「タクシン派」と「反タクシン派」の衝突が激化。
今回、19回目となるクーデターが発生し、一時は道路が完全に封鎖されるなどの騒動に繋がり、これを受けてタイ王国陸軍が5月20日、タイ全土に戒厳令を宣言。続く5月22日にはタイ全土に夜間外出禁止令(22時~5時まで)が発令され、「国家平和秩序評議会(NCPO)」が国を統治している期間が続いたが、6月13日にはタイ全土に夜間外出禁止令解除が発表された。
タイで目の当たりにした平和な現状
今回のインタビューを通じて、一貫して「タイの治安はほぼ元通りになっている」と、現地の平和をアピールしたタワチャイ総裁。
メディアを通じて、バンコクの騒動についての情報を得ていた私たちも、実際に現地に足を運ぶと、その言葉に納得せざるを得なかった。そこにはいつもと変わらぬ日常を送るタイ国民の姿があり、不安要素など微塵も感じさせなかった。まるで、デモなどなかったかのように街も国民も穏やかだ。
残念ながら、未だ日本人観光客の姿はあまり見受けられなかったが、現在、タイには騒動が起きる前のような日常が戻っているのが事実。全体を見ると、治安問題は少なからず昨今のタイの観光業界に影響を与えてはいるが、現状タイの治安は良いと言える。日本をはじめ、アジア圏、そして世界中の観光客で再び賑わいを見せる、タイの姿を見られる日も近そうだ。(女子旅プレス/モデルプレス)
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