【海外旅行】予約者数が4倍に…人気急上昇中の“円高”の国も。秋~年末年始におすすめの旅先はどこ?
円安で海外旅行が割高な昨今、円安の影響が少ない国はあるのでしょうか。世界的に物価が高騰しており、特に観光地は価格が上がりやすいため、「ものすごく安い」と感じる国は少ないですが、国内旅行と同じくらいの感覚で旅できる国は結構あります。
コロナ禍が明けても、円安でなんだか遠くに感じる海外。円安は一時期より少し落ち着いていますが、現地の物価高もあり、特に欧米は気軽に行ける感じではないかも? そんな中、比較的円安の影響が少ない国が人気を高めています。
夏休みに人気が急上昇したのは、エジプト、インド、モンゴル
旅行代理店のHISが発表した「2024年夏休み旅行予約動向」によると、前年から予約者数が急上昇したランキングのトップ3は、カイロ(エジプト)、デリー(インド)、ウランバートル(モンゴル)でした。共通するのは、どこも物価がそれほど高くないということ。
1位のエジプトの首都・カイロの予約者数は、なんと前年比405.6%! ものすごい伸び率です。ちなみにエジプトの通貨(エジプトポンド)に対しては、ここ数年、円高続き。2019年は1エジプトポンド=6~7円だったのが、2024年9月現在は3円前後です。
だからといって、驚くほど「安い」と感じるわけではありません。現地の物価はカイロやルクソールなど観光地を中心に上がっていますし、買い物の際などに、観光客はふっかけられることもあります。
ピラミッドの入場料は外国人と地元の人の二重価格になっていて、その差は実に9倍の開きがあります(外国人が900エジプトポンド、エジプト人/アラブ人が100エジプトポンド)。一般的なカフェであればコーヒー1杯300~400円くらいなので、日本とあまり変わらない印象です。
エジプトの場合、円高が理由というより、以前から「一生に一度は行きたい」と思う人が多かった旅先。コロナ禍を経て「行きたいところは行きたいうちに」「遺産巡りは歩けるうちに」と考える人が増え、それを円高が後押ししたようです。
ちなみに夏休み旅行で人気を集めましたが、実際は夏は酷暑で観光にはあまり向いていません。むしろ秋以降が観光シーズンです。
2位のデリー(インド)は、前年比270.3%。物価は日本より安いですが、上昇傾向です。デリーを訪れる人が多いのは、首都でインド観光の拠点になるからでしょう。
最近は健康志向からウェルネスツーリズムが人気で、南インドにアーユルヴェーダやヨガを目的に訪れる人もいます。インドはヒマラヤ地方を除くと、10~3月ごろがベストシーズンです。
3位はウランバートル(モンゴル)で、前年比249.3%。日曜劇場『VIVANT』(TBS)のロケ地になったことで話題になり、注目度がアップ。首都のウランバートルを拠点にゴビ砂漠へ足をのばしたり、草原で乗馬体験したりするのが人気です。ただ、モンゴルの観光シーズンは夏。冬は非常に寒く、ゴビ砂漠にも雪が積もることがあります。
この中で年末年始の旅行の候補になりそうなのは、エジプトとインド。ただ、客引きの多さや移動を含め旅のハードルが高めな国なので、旅慣れていなければツアーが安心です。
物価の面で行きやすいのはアジア
行きやすいのはやはりアジアです。最近はアジアも物価が上昇していますが、それでも総じて物価は控えめ。欧米と比べれば旅がしやすい状況です。季節や目的に合わせて国を選ぶのがよいでしょう。
年末年始の旅行でおすすめなのは、ビーチ派にはフィリピンのセブ島やマレーシアのペナン島。いずれも乾季でベストシーズンです。街歩きや遺跡観光なら、ベトナムのホーチミンやカンボジアのアンコールワットなどが、観光に適した気候です。
ヨーロッパなら中欧や東欧、ポルトガルが狙い目
今は欧州系の航空会社がロシア上空を飛ばないので、以前よりフライト時間が長く、物理的にも遠くなっているヨーロッパ。しかも物価が高く、心理的にも遠いかもしれません。
ただ、ヨーロッパの中でも中欧や東欧は比較的物価が安め。日本に近い感覚で旅ができるところも多いです。美しい街並みに魅了されるポーランドやチェコはその一例。冬は寒く、特にポーランドは日の入りがかなり早いのですが、クリスマスマーケットなど冬ならではの楽しみがあります。
西ヨーロッパなら、ポルトガルがおすすめ。ヨーロッパ最西端に位置し、物価が比較的落ち着いています。大航海時代を象徴する世界遺産やワイナリー巡りなど楽しみがいっぱい。冬は雨が降りやすいものの、日本より温暖。お米や魚をよく食べるので料理も日本人の口に合うものばかり。のんびりした旅ができます。
ヨーロッパは全体的に冬より夏のほうが旅行に向いていますが、あえてベストシーズンを外すことでホテル代などを抑えて旅費を下げる手もあります。
高い高いと言われる海外旅行も探せば穴場が見つかるるはず。まずは気になる国の最新状況をチェックしてみませんか。
執筆者:古屋 江美子(旅行ガイド)
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