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2024年に新登録された世界遺産、知ってる? 今行きたい「日本の世界遺産」全26カ所一覧

2024年に新登録された世界遺産、知ってる? 今行きたい「日本の世界遺産」全26カ所一覧

日本国内の世界遺産登録数は、2024年時点で文化遺産21カ所、自然遺産5カ所の計26カ所。多種多彩な名所がそろう日本国内の世界遺産をまとめてご紹介します。暫定リストに掲載された候補地にも注目ですよ。

ユネスコの世界遺産条約を1992年に締結した日本。未来にわたって残すべきと認定された日本国内の世界遺産は、2024年7月の新登録も含め、現時点で文化遺産21カ所、自然遺産5カ所の計26カ所にのぼります。

さまざまな歴史を背負う史跡や雄大な自然が残る場所など、多種多彩な名所がそろう日本国内の世界遺産をまとめてご紹介します。暫定リストに掲載された候補地もチェックしてくださいね。

【京都】清水寺(2023年11月撮影)
【京都】清水寺(2023年11月撮影)


手つかずの自然が残る知床【北海道】

【北海道】知床五湖・一湖(2019年7月撮影)
【北海道】知床五湖・一湖(2019年7月撮影)


北海道で最初に登録された世界遺産は知床(しれとこ)。アイヌ語の「シリエトク(大地の突端)」という言葉が語源といわれています。

オホーツク海に突き出した知床半島には、原生林に覆われた手つかずの自然が残り、知床五湖、温泉が流れるカムイワッカの滝、オシンコシンの滝、知床峠などで知床の自然に触れられます。

また、羅臼(らうす)やウトロからの観光船に乗れば、陸路では行けない知床岬を見ることも可能です。

縄文時代の人々の暮らしをたどれる遺跡群「北海道・北東北の縄文遺跡群」【北海道・青森・岩手・秋田】

【青森】三内丸山遺跡(2011年5月撮影)
【青森】三内丸山遺跡(2011年5月撮影)


およそ1万6000年前より1万3000年ほど続いたとされる縄文時代。その前の旧石器時代に、生きるために移動を繰り返しつつ暮らしていた人々が、竪穴式住居で定住するようになりました。また、土器や弓矢を作って動物の狩猟を行うなど、日本独自の方法で生活様式を変化させていきました。

そんな縄文時代の人々が暮らしていたことを示す貴重な痕跡が、現在も北海道と北東北に残っており「北海道と北東北の縄文遺跡群」として2021年に文化遺産に登録されました。

復元した竪穴式住居や大型掘立柱建物が間近で見られる三内丸山遺跡や、集団墓の痕跡と想定される大湯環状列石など、合計17の考古遺跡が北海道南部と北東北の各地に点在しています。

世界最大級のブナ林、白神山地【青森・秋田】

【青森】十二湖・青池(2003年5月撮影)
【青森】十二湖・青池(2003年5月撮影)


東北で最初に世界遺産として登録された秋田県と青森県にまたがる白神山地。自然遺産として登録されています。

ブナの原生林が世界でも類を見ないほどの大きさで今も残っていることが世界遺産登録の理由ということもあって、核心地域へは一般の観光客・登山客が気軽に入ることはできません。その代わり緩衝地域と呼ばれる周辺に名所がそろっています。

ブナ林の中にあるくろくまの滝(日本の滝百選)、暗門の滝では、自然の中に身を委ねられますし、神秘的な色合いを見せる小さな湖が点在する十二湖など、時間をかけて訪れたいところばかりです。

浄土思想による寺社と美しい庭園が残る平泉【岩手】

【岩手】平泉・毛越寺 浄土庭園(2006年5月撮影)
【岩手】平泉・毛越寺 浄土庭園(2006年5月撮影)


平安末期、都から遠く離れた東北で強大な勢力を誇った奥州藤原氏。拠点とした平泉では、仏教の文化が根付くとともに、中尊寺(ちゅうそんじ)や毛越寺(もうつうじ)など歴史的価値の高い寺社が建立され、現代に至っています。

金色に輝く中尊寺金色堂や浄土思想に基づく景観が残る毛越寺の庭園などが貴重と判断され、2011年に「平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群-」として文化遺産に登録されました。

奥州藤原氏の存亡に大きく関わりを持った源義経にまつわる歴史も踏まえて、ゆっくり歩きたい街ですね。

はるか昔から信仰を集める日光【栃木】

【栃木】日光東照宮・陽明門(2017年5月撮影)
【栃木】日光東照宮・陽明門(2017年5月撮影)


関東で最初に世界遺産として登録されたのは「日光の社寺」。

徳川家康公をご祭神とする日光東照宮、はるか昔から信仰を集めてきた日光の氏神である日光二荒山神社(にっこうふたらさんじんじゃ)、輪王寺(りんのうじ)の二社一寺が文化遺産として登録されています。

三猿、陽明門、眠り猫がある日光東照宮、神橋、華厳の滝など、見どころが多くありますね。

名だたる建築家が日本に遺した近代建築運動の結晶、国立西洋美術館本館【東京】

【東京】国立西洋美術館本館(2020年1月撮影)
【東京】国立西洋美術館本館(2020年1月撮影)


数多くの博物館や美術館が集まる東京・上野。その中の一つである国立西洋美術館本館は、1959年に開館した美術館で、印象派の絵画や彫刻など西洋美術の作品を幅広く展示公開しています。

この建物を設計したフランスの建築家ル・コルビュジェは、ヨーロッパを中心に斬新な近代建築の建物を数多く造り、それらがのちの建築に大きな影響を与えたということで、フランスの取りまとめで世界遺産へ推薦。

2016年に「ル・コルビュジエの建築作品 - 近代建築運動への顕著な貢献 -」として文化遺産への登録が叶い、国立西洋美術館本館も構成資産の一つとして世界遺産に登録されました。

展示作品の増加に対応して、無限に広げられるよう設計された建物の構造にも注目しながら美術鑑賞を楽しみたいですね。

世界でもっとも遠い島、小笠原【東京】

【東京】小笠原諸島・父島 Welcome Lock(烏帽子岩)(1991年4月撮影)
【東京】小笠原諸島・父島 Welcome Lock(烏帽子岩)(1991年4月撮影)


東京の南方洋上1000キロの沖に浮かぶ小笠原諸島。父島・母島・兄島・聟島(むこじま)など、家族の名前が付けられた島々から構成されています。

小笠原諸島は、大陸と地続きになったことがないため、動植物が独自の進化を遂げて多くの固有種が生息する世界でも希有な環境です。この貴重な環境が評価され、2011年に世界自然遺産として登録されました。

東京・竹芝桟橋から小笠原海運のおがさわら丸に乗って片道24時間かかり、世界でもっとも遠い島ともいわれる小笠原。手つかずの自然を体感すべく、1度は訪れたいところです。

絹の歴史を後世に語り継ぐ「富岡製糸場と絹産業遺産群」【群馬】

【群馬】富岡製糸場(2023年4月撮影)
【群馬】富岡製糸場(2023年4月撮影)


明治時代、日本の輸出品の要となった生糸。近代的工場として初めて造られた富岡製糸場で生まれた高品質の生糸は絹として世界中に輸出され、その後に生み出された技術も世界中に広がり、絹の産業を支えてきました。

そんな絹の歴史を後世に伝えようという動きから、中心となった富岡製糸場と絹産業に関わる3つの史跡が「富岡製糸場と絹産業遺産群」として2014年に世界文化遺産として登録されました。

明治以降の近代産業遺産としては国内初の登録。115年の操業停止後も大事に保存されてきた富岡製糸場の美しい赤レンガの建物が印象に残ります。

誰もが知っている日本一の山、富士山【静岡・山梨】

【山梨】FUIJIYAMAツインテラスから望む富士山(2022年5月撮影)
【山梨】FUIJIYAMAツインテラスから望む富士山(2022年5月撮影)


静岡県と山梨県にまたがる標高3776メートルの日本一の山、富士山。

日本人なら誰もが知っている富士山。その美しい風景と周辺を取り巻く寺社の歴史が世界遺産に値するとの評価を受け、2013年に文化遺産「富士山 -信仰の対象と芸術の源泉」として登録されました。

富士山域はもちろんのこと、富士五湖や富士山本宮浅間大社、忍野八海、白糸の滝、三保の松原などの名所が世界遺産を構成する資産に含まれています。

懐かしさを感じる合掌造りの風景、白川郷と五箇山【岐阜・富山】

【岐阜】白川郷・合掌造りの街並み(2024年2月撮影)
【岐阜】白川郷・合掌造りの街並み(2024年2月撮影)


中部・北陸地方で初めて世界遺産に登録されたのは「白川郷・五箇山の合掌造り集落」。

日本の農村の原風景とも言える茅葺き屋根の合掌造りの民家が五箇山(富山県)の相倉、菅沼地区と白川郷(岐阜県)の荻町(おぎまち)地区にまとまって残っています。

一部の合掌造りの民家は、有料で内部を見られますし、白川郷では荻町城址の高台より、合掌集落が点在する風景を見下ろせますよ。

日本最大の金山の遺構が今も残る佐渡【新潟】

【新潟】佐渡金山・導遊の割戸(2012年8月撮影)
【新潟】佐渡金山・導遊の割戸(2012年8月撮影)


日本海で一番大きな島、佐渡。この島では古くは平安時代に砂金の採取から始まり、江戸時代から平成まで実に388年の長期にわたって金を生産し続けた金山がありました。

佐渡の金が世界中に流通していたこと、金山の遺構が坑道も含めて現在も残るなど鉱山を中心とした人々の営みの痕跡の数々が未来に継承すべき場所として評価されたことから、2024年に「佐渡島(さど)の金山」として世界文化遺産に登録されました。

構成遺産の一つである相川金銀山では、金山の坑道を有料で見学でき、江戸時代と明治以降の採掘方法の違いなどを知ることができます。構成遺産からは外れましたが、奉行所など鉱山に関連した施設跡も多く、金が採掘されていた頃のにぎわいに思いを馳せられます。

聖徳太子建立のお寺、法隆寺【奈良】

【奈良】法隆寺(2015年5月撮影)
【奈良】法隆寺(2015年5月撮影)


関西地方には、6つの世界遺産が集まります。その中で最初に世界遺産に登録されたのは「法隆寺地域の仏教建造物」です。

法隆寺は聖徳太子が建立したお寺で、五重塔や金堂で知られています。世界で一番古い木造建築物とされています。

また同じ斑鳩(いかるが)の地にある法起寺(ほっきじ、ほうきじ)も世界遺産に含まれており、こちらには三重塔があります。

古き都の香りを残す「古都奈良の文化財」【奈良】

【奈良】東大寺大仏殿(2024年6月撮影)
【奈良】東大寺大仏殿(2024年6月撮影)


世界遺産「古都奈良の文化財」は、奈良市内にある東大寺、興福寺、春日大社、元興寺、薬師寺、唐招提寺(とうしょうだいじ)の各寺社と平城宮跡、春日山原始林の8つの史跡で構成されています。

ほとんどの寺社が平城京として奈良に都が置かれた当時に建立され、1300年近くたった現在も残っているという非常に貴重な存在です。東大寺の大仏、春日大社の鹿と、訪れた人々の印象に残る風景が多く見られますね。

紀伊半島を取り巻く山岳信仰に触れる「紀伊山地の霊場と参詣道」【奈良・和歌山・三重】

【和歌山】青岸渡寺と那智の滝(2024年7月撮影)
【和歌山】青岸渡寺と那智の滝(2024年7月撮影)


紀伊半島には、山岳信仰に基づく吉野・大峯、熊野三山、高野山の3つの霊場があり、霊場へ参詣するための道が古来より整備されてきました。

霊場内にある多くの寺社とともに、霊場へ参詣する道を取り巻く自然景観が評価され、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されています。

エリアが広大なため、一つずつ各地の霊場を訪ねていく形になりますが、桜の名所でも知られる吉野・金峯山寺、吉水神社(奈良県)、那智の滝を御神体に抱える熊野那智大社(和歌山県)、真言密教の聖地とされた高野山・金剛峯寺(和歌山県)など、見応えのある古刹ばかりですよ。

平安の雅を感じる「古都京都の文化財」【京都・滋賀】

【京都】鹿苑寺(金閣寺)(2015年11月撮影)
【京都】鹿苑寺(金閣寺)(2015年11月撮影)


平安京が置かれてから、戦国時代が終わるまで約800年もの間、日本の中心であり続けた京都。

多くの寺社が今も残る京都の街中にある古刹から、13のお寺(賀茂別雷神社(上賀茂神社)、清水寺、鹿苑寺(金閣寺)、慈照寺(銀閣寺)、高山寺、西芳寺(苔寺)、賀茂御祖神社(下鴨神社)、醍醐寺、教王護国寺(東寺)、天龍寺、西本願寺、仁和寺、龍安寺)と二条城、比叡山の延暦寺(滋賀県)、そして宇治にある平等院鳳凰堂と宇治上神社の17カ所が「古都京都の文化財」として世界遺産に登録されました。

清水の舞台を持つ清水寺、春の桜が美しい醍醐寺、10円玉のデザインでもおなじみの平等院鳳凰堂など、観光名所ばかりですね。近接している所も多いので、ゆっくり歩いて参詣するのがいいでしょう。

古墳時代に築かれた前方後円墳が街の中に残る百舌鳥・古市古墳群【大阪】

【大阪】古市古墳群<羽田から伊丹へ向かう飛行機の中から>(2018年7月撮影)
【大阪】古市古墳群<羽田から伊丹へ向かう飛行機の中から>(2018年7月撮影)


古墳とは、飛鳥時代の前にあたる古墳時代、日本各地で位の高い人や時の権力者を埋葬するお墓として土を盛って築かれた墳墓(ふんぼ)のこと。

大阪府内には、地図上でもはっきりその形が分かる日本最大の前方後円墳、大山陵(だいせんりょう)古墳(仁徳天皇陵)を含む百舌鳥(もず)古墳群と誉田山(こんだやま)古墳(応神天皇陵)を含む古市(ふるいち)古墳群があります。

日本が国としての形を築き上げていく中で現れた文化の一つであり、1600年以上経過した現在でも街の中で築造当時の状態をほぼ維持していることから、未来に引き継ぐべき遺産として2019年に世界文化遺産として登録されました。

いずれの古墳群も一般観光客が直接中を見学できるところはなく、遠くから望むしかありませんが、周辺の文化施設などで成り立ちなどを確認することが可能です。

白鷺のごとく美しく輝く姫路城【兵庫】

【兵庫】姫路城(2018年7月撮影)
【兵庫】姫路城(2018年7月撮影)


兵庫県西部の姫路には、白鷺城という別名を持つ美しい城、姫路城があります。九州以北にある日本の城の中では唯一世界遺産に登録されています。

江戸時代以前からの天守が残る城の中では一番規模が大きく、天守閣と小天守がつながる櫓なども当時のまま残っており、非常に貴重な城といえます。

未来に語り継ぐ負の世界遺産、原爆ドーム【広島】

【広島】原爆ドーム(2017年7月撮影)
【広島】原爆ドーム(2017年7月撮影)


中国地方(山陽・山陰)には、4つの世界遺産が登録されています。広島市内にある世界遺産は原爆ドーム。

広島県産業奨励館という洋館の建物でしたが、第2次世界大戦末期の原爆禍により、建物は残ったもののドームは鉄骨のみの姿に。人類が未来に語り継ぐべき負の世界遺産として、平和の尊さをこれからもずっと伝えていく場所となります。

日本三景で唯一の世界遺産、宮島・嚴島神社【広島】

【広島】宮島・嚴島神社(2007年8月撮影)
【広島】宮島・嚴島神社(2007年8月撮影)


原爆ドームと同時期に世界遺産に登録された宮島・嚴島神社。

海にせり出した朱塗りの社殿と干潮時以外は海の中に立つ大鳥居が印象に残ります。日本三景の中で唯一世界遺産に登録されている名所でもあります。

世界を席巻した銀の産地を訪ねる石見銀山【島根】

【島根】石見銀山・大森地区の町並み(2012年10月撮影)
【島根】石見銀山・大森地区の町並み(2012年10月撮影)


山陰地方で初めて世界遺産に登録されたのは、石見銀山(いわみぎんざん)。

戦国時代から江戸時代にかけてここで産出した銀は「石見銀」と呼ばれ、世界中に流通しました。鉱山開発の伝統的技術の跡と鉱山町の町並み、銀を港へ運ぶ時の道などが残っていることから「石見銀山遺跡とその文化的景観」として、世界遺産に登録されました。

鉱山跡の間歩(まぶ)の一部が見学可能で、鉱山町である大森地区の町並み散策も楽しめます。また銀を積み出した温泉津(ゆのつ)は静かな温泉地で、良質の温泉でのんびりすることも可能です。

国宝8万点を誇る「海の正倉院」、宗像大社【福岡】

【福岡】宗像大社・辺津宮(2015年8月撮影)
【福岡】宗像大社・辺津宮(2015年8月撮影)


古事記、日本書紀にも名が残る宗像(むなかた)大社は、九州本島の辺津宮(へづぐう)、玄界灘に浮かぶ大島の中津宮(なかつぐう)、沖ノ島の沖津宮(おきつぐう)の3つの宮からなり、それぞれ天照大神の娘にあたる女神を奉ります。

沖ノ島は神域として一般の人の立ち入りを禁じていたため、後にはるか昔に大陸と日本の間の文化交流を示す貴重な物品が大量に出土、8万点もの品が国宝に指定されたことから「海の正倉院」の別名を持ちます。

古代の文化交流を示す貴重な史跡であり、現代でも神域が守られていることから未来に継承すべき資産として2017年に「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」として世界文化遺産に登録されました。

沖ノ島は神域のため、中津宮にある沖津宮遥拝所からの参詣となりますが、中津宮、辺津宮は一般の人も参詣できます。

明治時代の産業革命を支えた施設群「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」

【長崎】軍艦島(端島炭鉱)(2014年2月撮影)
【長崎】軍艦島(端島炭鉱)(2014年2月撮影)


明治時代、急速に発展した日本の産業近代化を支えた炭鉱や造船所、反射炉跡などが、100年以上経過した現在もなお残されていることが注目され、未来に残すべき遺産として2015年に世界文化遺産に登録されました。

2014年までに登録された世界遺産とは異なり、鹿児島県の旧集成館や、熊本県の三角西港、長崎県の軍艦島(端島炭鉱跡)、三菱長崎造船所関連施設、福岡県の三池炭鉱、山口県の萩反射炉、松下村塾など広範囲に資産が点在しているのがこの世界遺産の特徴で、岩手県の橋野鉄鉱山・高炉跡や静岡県の韮山反射炉も資産に含まれます。

キリシタン弾圧の歴史を今に伝える「長崎と天草地方の潜伏キリシタン遺産群」【長崎・熊本】

【長崎】上五島・頭ヶ島天主堂(2021年7月撮影)
【長崎】上五島・頭ヶ島天主堂(2021年7月撮影)


日本にキリスト教がもたらされた後、豊臣秀吉が発布した禁教令(バテレン追放令)。明治政府がキリスト教を解禁するまでの280年強もの長い間、キリシタン教徒は厳しい弾圧を避けようとして、周囲から隠れたり、幕府からの目の届きにくい離島に移住するなどの手段を取って、キリスト教の信仰を守り続けました。

日本独自の歴史でもあるキリシタン弾圧の史実を示す建物などが現在も残っており、後世に伝えるべき遺産として2018年に文化遺産に登録されました。

大浦天主堂がある長崎市内や平戸、五島列島など長崎県内の広い範囲に世界遺産を構成する資産が散らばっており、津天主堂がある天草の津集落も資産に含まれています。

大自然の営みを体感できる屋久島【鹿児島】

【鹿児島】屋久島・トローキの滝(2002年8月撮影)
【鹿児島】屋久島・トローキの滝(2002年8月撮影)


九州で初めて世界遺産に登録された場所は、屋久島。宮之浦岳を主峰として山岳が連座し、洋上アルプスと呼ばれ、島の5分の1が自然遺産のエリアとされています。

樹齢7200年の縄文杉、樹齢3000年の紀元杉などの屋久杉、『もののけ姫』の舞台のモデルにもなった白谷雲水峡など大自然の営みを体感できるところばかりです。島の周囲にあるさまざまな滝巡りも楽しいですよ。

手つかずの大自然の中、多数の固有種の動植物が生息する奄美・琉球【鹿児島・沖縄】

【鹿児島】奄美大島・あやまる岬(2021年10月撮影)
【鹿児島】奄美大島・あやまる岬(2021年10月撮影)


亜熱帯性気候に属する奄美大島や沖縄の島々には、緑豊かな手つかずの大自然が各地に残ります。アマミノクロウサギやイリオモテヤマネコなど他の場所では見られない固有種の動植物が多く生息しているのもこの地域の特徴。そんな貴重な環境を未来に残すべく、2021年に自然遺産へ登録されました。

「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の遺産名が示すとおり、奄美大島と徳之島、沖縄島北部と西表島が世界遺産の範囲。貴重な生き物たちが暮らす大自然の中に体を預けて身も心もリフレッシュするのに最適ですね。

琉球王国の栄華をしのぶ「琉球王国のグスク及び関連遺産群」【沖縄】

【沖縄】今帰仁城址(2009年1月撮影)
【沖縄】今帰仁城址(2009年1月撮影)


沖縄からは、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界遺産として登録されています。

グスクとは城のこと。九州以北の城とは全く趣が異なり、独特の石積みでカーブを描くように築かれた城壁が印象に残りますね。グスクのほかに琉球王国が残した史跡も世界遺産の範疇(はんちゅう)に入ります。

那覇周辺(首里城跡、園比屋武御嶽石門、玉陵、識名園)、本島南部(斎場御嶽)、本島中部(中城城跡、勝連城跡、座喜味城跡)、本島北部(今帰仁城址)と本島内に散らばっていますので、ゆっくり日数をかけて回るといいでしょう。

暫定リストに記載された候補地にも注目したい

【滋賀】彦根城(2024年1月撮影)
【滋賀】彦根城(2024年1月撮影)


現在、世界遺産への登録を準備している国内の名所・旧跡は多数あります。文化遺産については文化庁が、自然遺産については環境省が世界遺産暫定リストに該当箇所を掲載した上で登録の準備を行い、ユネスコに対して登録を申請(推薦)するという手続きを取ります。

最近は特に登録基準が厳しくなりましたが、2024年10月現在では新規3件、既存遺産の拡張1件が世界遺産暫定リストに掲載されています。

・鶴岡八幡宮(神奈川県)他…「古都鎌倉の寺院・神社ほか」
・彦根城(滋賀県)…(2023年 ユネスコへ事前評価申請、2024年10月イコモス評価結果受領、2025年10月以降に推薦書提出予定)
・石舞台古墳(奈良県)他…「飛鳥・藤原の宮都とその関連遺産群」
・柳之御所遺跡(岩手県)他…「平泉-仏国土(浄土)を表す建築庭園及び考古学的遺跡群」の拡張(構成資産追加)

どの場所も1度は訪れておきたいところですので、時間をかけて見ておきたいですね。


執筆者:村田 博之(名所・旧跡ガイド)


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