雄大な駿河湾に面した静岡県焼津市（やいづし）の温泉宿「月と鮪 石上」。海と山の狭間で静けさに包まれる、1日5組限定という隠れ家感も素敵な、大人女子にぴったりのお宿をご紹介します。
静岡・焼津で鮪と温泉を満喫する隠れ家宿「月と鮪 石上」
のどかな駿河湾に面し、鮪やしらす漁が盛んな日本有数の漁港として知られる焼津市。そんな焼津市の山と海に挟まれた小さな集落に建つ「月と鮪 石上」は、「月」と「鮪」をテーマにした1日5組限定のお宿。
元々は「石上」という1950年創業の老舗旅館が、今年7月リニューアルを経て、歴史と新しさを併せ持つお宿に生まれ変わりました。
こちらの「月と鮪 石上」は、焼津の市街地から離れ、大崩海岸から山の細道を下った先の、民家がぽつぽつと建つ閑静なロケーションにあり、女将さんと男兄弟のおふたり、家族3人で営まれています。
宿に近づくにつれ、民家や店舗がどんどん少なくなり、都会の雑踏と日常生活でのあれこれを置き去りにしていくような感覚に。
「慌ただしい都会から離れて、静けさの中で過ごすひとときを楽しんでもらえたら」そんな女将さんの言葉通り、心地よい静けさに包まれた空間を、木立の葉の揺れる音、虫の鳴く声だけが満たし、穏やかに流れる時間がほっと心をときほぐしてくれるようです。
月にちなんだ名前の和洋室のお部屋
5室のみの客室は、海側と山側の2タイプがあり、各部屋ごとに寝待月、弓張月、月ノ眉など、月にちなんだ素敵な名前が付けられています。
全部屋共通して、2台横並びのセミダブルサイズのベッドと、ワーケーションにも便利な窓際のテーブル、洗面台、そしてWi-Fiを完備。
お部屋の窓の向きによって見える景色が異なるのはもちろん、部屋ごとに間取りやオーダーメイドで制作された椅子の色が異なったりと、シンプルで心地よい空間の中にもこだわりが感じられます。
こちらの宿では館内にあえてテレビを置かず、共有部を含めBGMも一切流れていません。到着後にお部屋のベッドで横になっていると、しんと心地よい静けさの中で気持ちもすっかりリラックスしてオフモードに。
お風呂・トイレは共用で、1階に男女別の温泉浴場を完備。天然温泉「焼津温泉」の湯を引いており、男湯の方がやや広めに造られているため、他に宿泊客がいない日であれば、男湯と女湯のどちらも好きな方を利用できます。
「満月のダイニング」で鮪好きには堪らないコース仕立ての夕食に舌鼓
大きな円窓越しに昼と夜でその表情を変える湾の景色を望む「満月のダイニング」は、このお宿を象徴するかのような空間。
お部屋の名前が月にちなんでいるのに対し、こちらは綺麗な満月を連想させる円窓があしらわれ、昼は海に太陽の光を反射する駿河湾を、夜は駿河湾に浮かぶ月を望み、運が良ければ月光が織りなすムーンロードも楽しめます。
大きな円窓は、まるで時間帯ごとに表情を変える風景を切り取る額縁のよう。
こちらで頂けるのは、「sio」オーナーシェフ・鳥羽周作さんと共同開発したという「極上南鮪のコース」。焼津市の名物・鮪の様々な部位を贅沢に使用した内容です。
先付けの鮪節と乾燥舞茸のスープにはじまり、ビーツと南鮪を挟んだ一口大のもなか、お塩で頂く大トロ握りと続き、「南鮪を全て食べてほしい」との思いがひしひしと伝わってきます。
鮪の刺身盛り合わせは、天身、血合いと大トロの半々の部位、大トロと、こだわりの部位を贅沢に食べ比べできる一皿。肉厚なお刺身はどの部位もそれぞれの美味しさがあり絶品！
生の鮪ばかりでなく、鮪頬肉と黒米のケール巻き、焼津市のお醤油を使った煮込みや、梨とセロリのリンゴ酢マリネとお口直しも挟まれ、最後まで飽きさせないコース内容です。
そしてこちらの宿の名前でもある「月と鮪」にちなんだ一品が〆のごはん。土鍋で炊いた「縁結び」という品種のお米の上に、“卵黄の醤油漬け”べっこうだまとトロをのせて頂く一品で、一緒に頬張ると、ほかほかのごはんの熱で黄身とトロがじんわりと口の中でとろけて三位一体となる美味しさが堪りません。余ったごはんは夜食用に塩むすびにもして頂けます。
デザートはマンゴー、キウイ、フランボワーズのソースで頂くミルクジェラート、そして手作りの和菓子。デザート提供時には、お抹茶も点ててもらえます。
こちらの夕食は基本的に宿泊者全員で一枚板のダイニングテーブルを囲み、一斉にコースを開始するスタイル。初対面同士ということもありはじめは気恥ずかしさはありつつも、ひとつのテーブルを囲んで美味しさを共有することで、品数が進むにつれ料理を話のタネにいつしか自然と会話が弾んでいるのだそう。
ランチョンマット代わりに、女将さんが墨で思い思いの言葉を綴った和紙が各席に置かれているのも素敵な心配りです。
また「満月のダイニング」と別に、「青月」「風月」という特別個室も二部屋だけあり、こちらは記念日やハレの日の特別な利用シーン向け。過去には個室を利用してプロポーズをしたカップルもいるのだそう！直接女将さんに用途や希望を伝えられるところも小規模なお宿の利点ですね。
緑の生い茂る山を見渡す「山月のラウンジ」
宿泊者向けの共用スペース「山月のラウンジ」は、心地よく緑を眺めながら、雑誌や書籍を読みながら、思い思いに寛げる空間。サービスのコーヒーや紅茶、チョコレートも置かれていて、湯上がりにはタイミングを見計らってビールも用意しておいて頂けます。
今回は夏の盛りの宿泊だったため、昼はひぐらしが、夜は鈴虫やカエルの鳴き声が爽やかな風にのって心地よく肌を撫ぜ、夏ならではの風情を感じさせてくれました。
鮪を使った品数豊富な朝食
朝食は鮪とお野菜をふんだんに使った定食スタイル。新鮮な中落ち、やわらかなカマの煮付けと、朝食でも美味しく鮪を頂けるだけでなく、静岡名物のわさび漬け、糠漬け、切り干し大根と地の野菜もふんだんに使用しており、栄養満点。どれも一皿一皿丁寧に作られていることがお味から伝わります。
食後は甘味と一緒に、掛川の深蒸し緑茶を焙煎したほうじ茶のサービスが。宿で焙煎したばかりの茶葉を水出しにしており、普段飲んでいるほうじ茶とは香ばしさが段違いです。
テレビやインターネットから離れ、青く煌めく海と山に抱かれ「静かな贅沢」を愉しむ。美味しい物を食べ、温泉に浸かり、良質な睡眠をとる。
休むとは本来こういうこと、というシンプルな気付きを与えてくれる、忙しない日常を過ごす大人女子にこそ訪れてみてほしい素敵なお宿です。（女子旅プレス／modelpress編集部）
月と鮪 石上
住所：静岡県焼津市小浜1047番地
アクセス：焼津駅（東海道線）よりタクシーで10分ほど
チェックイン：15時半～／チェックアウト：10時半
アメニティ
シャンプー／トリートメント／ボディクリーム／化粧水／乳液／シャワーキャップ／髭剃り／ブラシ／シェービングクリーム／歯ブラシ／ドライヤー／タオル／バスタオル
※記事は女子旅プレスの調査及び主観に基づくものであり、店舗のサービスが保証されるものではありません。
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