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牛、犬、亀も…! 旅行作家が教えてくれた、全国にある「動物の名前が入った」駅10選

牛、犬、亀も…! 旅行作家が教えてくれた、全国にある「動物の名前が入った」駅10選

全国には様々な駅名がある。ここでは「動物の名前が入った駅」を取り上げてみたい。

全国にはさまざまな駅名がある。ここでは、「動物、生き物の名前が入った駅」を取り上げてみたい。2021年は丑年なので、それにちなんで「牛」が駅名に含まれる駅からご紹介しよう。

1. 東武伊勢崎線<スカイツリーライン>「牛田」駅【東京都足立区】

浅草駅を起点とする東武鉄道の幹線伊勢崎線(愛称「スカイツリーライン」)にあり、北千住のひとつ手前の駅。普通電車しか停車しない。改札口を出て、目の前の通りを渡ると京成電鉄の京成関屋駅が向かい合っている。信号待ちがなければ30秒ほどの距離であり、乗り換える人は少なくない。

駅の所在地は足立区千住曙町であり、牛田という地名は今はない。かつて牛田圦(うしだいり)と呼ばれた農業用水路が近くにあったことに由来するとのことだ。

なお、牛田駅は、名鉄名古屋本線(愛知県知立市)および広島高速交通(アストラムライン)(広島市東区)にもある。

2. 東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅【東京都港区】

虎ノ門という地名は江戸城外堀にあった門の名前に由来する。もっとも、なぜ「虎」なのかは諸説あって定かではない。駅名としての虎ノ門駅は地下鉄銀座線の駅として開業した1938年にさかのぼる由緒あるものだ。

この銀座線と交差する地下鉄として日比谷線が開業したのが1964年のこと。しかし、ずっとこの付近に日比谷線の駅はなく、銀座線と日比谷線の乗り換えは、この近くでは銀座駅で行うしかなかった。2020年になってようやく新駅が開業し、やや離れてはいるけれど銀座線の虎ノ門駅と新しい虎ノ門ヒルズ駅が乗換駅として機能するようになったのである。

3. 山形鉄道フラワー長井線「白兎」駅【山形県長井市】

白兎駅というと鳥取県に白兎海岸や「スーパーはくと」という列車もあるので、鳥取県にあるのかと思いきや、何と山形県内を走る第3セクターの山形鉄道フラワー長井線にある。

フラワー長井線は山形新幹線の駅でもある赤湯駅が起点で、6つ目の今泉駅でJR米坂線と分岐した後、田園地帯を北上する。今泉駅から6つ目、広々とした田圃の中にポツンとたたずむのが小さな白兎駅だ。

駅舎はなくホームに小さな待合室があるだけ。その中に兎の置物があり、白兎駅であることをアピールしている。この付近の地名が長井市白兎であることから命名されたのだが、地名の読み方は「しろさぎ」。もっとも、名所「白兎のしだれ桜」は「しろうさぎ」と読むようだ。

4. JR山陰本線「馬堀」駅【京都府亀岡市】

景勝地である保津峡を抜け、平地になったところにある駅で周囲は京都市のベッドタウンだ。馬堀駅から10分ほど京都方面へ歩いたところに嵯峨野観光鉄道の西の終点であるトロッコ亀岡駅があり、観光客で賑わっている。

似たような駅名に京急電鉄の馬堀海岸駅(神奈川県横須賀市)があるが、こちらは「まぼりかいがん」と読む。

5. 嵯峨野観光鉄道「トロッコ亀岡」駅【京都府亀岡市】

「亀」の付く駅としてはJR亀甲駅がユニークで面白いのであるが、別のところで取り上げたので、本稿ではトロッコ亀岡駅を挙げておこう。前述したようにJR馬堀駅から徒歩10分ほどのところに位置し、JR亀岡駅とはかなり離れていて歩ける距離ではない。

観光用に特化した駅であるため、ログハウス風の駅舎内は広々としていて土産物店や飲食店もある。ホームから見える動物は亀ではなく信楽焼のタヌキであり、数えられないくらいのタヌキが乗降客を出迎えてくれる。

6. 名鉄三河線「猿投」駅【愛知県豊田市】

名鉄三河線の「山線」区間の終着駅。かつては先の西中金駅まで延びていたが2004年に廃線となり、この駅が終着駅となった。車両基地もあり、かなりの規模の駅である。

猿を投げると書いて「さなげ」と読む。動物愛護に反するような地名だが、可愛がっていた猿がいたずらをしたため、怒った天皇が猿を海に投げてしまい、その猿が山に隠れ住んだので、その山を猿投山と名付けたことに由来するそうだ。

海とは伊勢湾のことであろうが、猿投山は伊勢湾から遠く、妙な話だ。それにしても猿投山も猿投神社も駅とはかなり離れたところにあり最寄り駅とはいえない。何とも不思議な駅である。

7. 銚子電鉄「犬吠」駅【千葉県銚子市】

大赤字で電車の修理代が出ない、濡れ煎餅を売って急場をしのいだ、など話題に事欠かない小さな鉄道会社銚子電鉄。しかし人気絶大で多くのファンがいる。

その短い路線の終点外川の一つ手前の駅が犬吠駅。犬吠埼の徒歩圏にあり、多くの観光客が訪れている。南欧風の駅舎は洒落ていて、インスタ映えする駅だ。駅名の犬吠にちなんで戌年の記念入場券も発売された。

犬吠という風変わりな地名の由来には諸説がある。ひとつは、源義経の愛犬が岬に置き去りにされ、主人を慕う余り、7日7晩鳴き続けたことから犬吠(犬が吠く)と名付けられたという説。あるいは、この付近に生息するアシカの鳴き声が犬に似ていたことから、犬吠埼と名付けられたという説もある。

8. JR高山本線「猪谷」駅【富山県富山市】

JR東海とJR西日本の境界駅で、この駅から富山駅までの高山本線はJR西日本に所属する。かつては、猪谷駅から分岐する神岡鉄道があったが、2006年に廃線となった。

山間部の駅で、特急「ワイドビューひだ」が停車するものの無人駅で利用客は少ない。猪谷という駅名は付近を流れる猪谷川にちなんで名付けられたが、本当にイノシシが多く生息していたので地名になったといわれている。

9. JR津軽線「蟹田」駅【青森県東津軽郡】

青函トンネルを行き来していた特急「白鳥」「スーパー白鳥」の停車駅として賑わっていたが、北海道新幹線の開業にともない在来線の優等列車は全廃され、今は津軽線の普通列車が静かに行き交うのみである。

駅名にちなみ、一時蟹駅長が存在したが今は海に帰り、トゲクリガニをデザイン化したキャラクター「津軽蟹夫」が津軽線のPRを担当している。

蟹田駅には太宰治が著書「津軽」の中で書いた「蟹田ってのは風の町だね」というボードがホームに立っている。しかし、太宰は生前、この駅に降り立ったことはない。なぜならば、津軽線が蟹田まで開業したのは1951年であり、太宰は1948年に亡くなっているからだ。津軽線の開業は意外にも第2次世界大戦後なのである。

最後に鳥にちなんだ駅名を挙げておこう。鳥に関する駅名は、烏山、燕、燕三条、鳩ノ巣、鷺沼、鶴橋など数多くある。その中で、ここで取り上げるのは鳩ケ谷駅だ。

10. 埼玉高速鉄道「鳩ケ谷」駅【埼玉県川口市】

東京メトロ南北線の延長区間として開業した埼玉高速鉄道のほぼ中ほどにあるのが鳩ケ谷駅だ。終点の浦和美園駅付近のみ地上区間でほとんどが地下を走る。鳩ケ谷駅も市民センターを兼ねた立派な駅舎があるものの線路は地下にある。

鳩ケ谷は日光御成道の宿場として栄え、2011年までは鳩ケ谷市だったが、川口市に編入された。東京への通勤圏で朝のラッシュ時を中心に鳩ケ谷駅折り返しの電車が設定されている。

鳩は発渡(はつと)郷という地名に由来する説、窪地を意味する「ホト」が転化した説などがあり、鳩とは直接の関係はなさそうだが、駅名標には、鳩のイラストが描かれている。

動物や生き物の名前が入った駅は、数多い。今回取り上げたのは、そのうちのごく一部である。ユニークな駅名も少なくないので、機会があればまた紹介してみたいと思う。


執筆者:野田 隆(鉄道ガイド)


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